名前はルヴ・ギャングニスタ。
小説を書いています。
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作品
『朝鮮人参、マンドラゴラ、だれもいない王国』
重ためエンターテイメント。恋愛小説。グロあり。
1、
「あたし女王様、でもときどきマフィアまざるねん。あたしなあ、マフィアの娘やねん。
ギャグニスタにしてギャングニスタウーマンやねんで。なあ、そういう話、信じてくれる?」
あたしは隣の男に話しかけた。男はいつも寡黙である。あたしが話しかけても黙ったままである。
まるであたしの独り言みたいだよ。夜の山のなかは寒い。昼間はそんなに怖くはないけれども、
夜の森は格別怖い。木々の一本一本が怪しげな気配を放ってあたしと男のまわりをぐるぐると
いろいろな方向から追いつめながら追いかけてきたり見下ろしてきたり、なにか言いたそうにして
いるんだけれども、ざわざわという音にしか聞こえない葉々の音であたしたちを怖がらせたりする。
夜の森はあたしたちを明らかに異質扱いする。夜の森のなかにいると
あたしは身体が震えだして、わーっと思わず大きな声を出して、そこらじゅうを
はしりまわって逃げ惑いたくなってしまう。でも我慢して耐えている。足がそわそわして落ち着かない。
木や森があたしを背後からほらほらといってせっついているような気がする。いつまでも森のなかに
いる限りあたしたちをずっと見つめていて、あたしのまわりからやんややんやいうて夜が来るよ夜が来るよ、